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スクールデスコ

外はサクッ、中は腐ってる日記

マエケンの新しいアルバムと2012年ベストアルバム

オレらは肉の歩く朝 / 前野健太 (2013)

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4枚目のアルバムはなんとジム・オルークがプロデュース。これ知ったとき正直不安だったんですよね。いや、ジム・オルークの音楽は好きですけど、なんか今までセルフプロデュースで、あの生々しくも安っぽい多重録音がマエケンの魅力のひとつだったのに、妙に完成された音になっちゃったらつまんないなーっていう。あと「外国人が日本人をプロデュースするとロクなことになんない(ついでに音響系の人が他人をプロデュースするのも)」っていう偏見も。

しかしそこは大の親日家で日本在住6年半を数えるジム・オルークさん。インタビューとか読むと、歌詞をきちんと理解しながらプロデュースしたようで。こないだの音泉温楽のライブで歌う前にタイトルを言った段階で会場に失笑が起こった『女を買いに行こう』をアルバムの最後に持ってきて台無しにする曲順もジム・オルークの強い希望だったみたい。映画好きなジムらしく、たとえば『アベンジャーズ』でいえばあのラストみたいな脱力感。なんだよジム、わかってるじゃん!あとこのアルバム、たとえば他のCDを聴いていて入れ替えるとすごくわかるんだけど、音圧がかなり低いんだよね。なんだか昔のCDみたい。そうそう、昔のCDって音圧が低くて、自分で好きな曲を集めてMDでコンピを作ろうとするとその曲だけ妙に音がちっちゃくなっちゃって困ったよなーみたいな甘酸っぱい気持ちになりましたよ。

曲の感じでいうと、ミもフタもないこといえば、曽我部恵一っぽい、っていうかサニーデイサービスっぽい曲増えたなーって思った。これは前作の『ファックミー』あたりから言えることなんだけど。今作は特にタイトルや歌詞に「東京」って単語が増えたからよりそう感じたのかもしれん。でも、歌詞で決定的に違うのは、サニーデイサービスが「ヤリたい」という気持ちをおくびにも出さずに愛だ恋だと歌って女子ウケしていたのに対して、マエケンのそれは純粋すぎるほどストレートなことだよな。シャ乱Qに対する面影ラッキーホールっていうか。中二レベルとかじゃなくて、大人の下ネタ。飲み会とかで使うとドン引かれる方のやつ。さっきの「女を買いに行こう」も「80分2万5千円 吉田カバン良いの買えるけど でも行こうよ」という酷すぎる歌詞。だからこんなに信用できるんだと思う。

その一方でたとえば個人的ベストトラックの『興味があるの』での「君のほっぺにチューをしていると 僕は君のお父さんか君の子供にでもなったみたい」とか、『あんな夏』での「父親の遺産を使ってはじめてピンサロに行った きょとんとした僕を見てバドガールのはるなさんは言った どういう場所だか分かってるよね?時間がないから 脱いで」などという、もはや「詩情」としか呼べないようなロマンチックな一面をふいにのぞかせるからズルいと思う。ゆらゆら帝国が岡村靖幸の「家庭教師」をカバーしたような『街の灯り』だけは、最初違和感あったけど何度も聴いてるうちに慣れてきた。やっぱこのアルバム好きだわー。

*****

というわけで、今年になってから早くもマエケンだけじゃなく、ウルリッヒ先生やTORO Y MOIの新作が出たり、あろうことかマイブラまでアルバムを発売してしまって思うところはたくさんあるのですが、その前にそういえば去年ってアルバムの感想ほとんど書いてなかったなーということで、今さらながら去年のベストアルバム的なものを振り返ってみたいと思う。キーワードは「ポップ」と「切ない」。この2つが揃ってればだいたい好きです。

■Jポップ部門

PS4U / Tomaton'pine
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なんとしてでもその座にしがみつこうとするアイドルがいる一方で、この傑作ファーストアルバムを残してあっさり解散ってかっこよすぎるでしょ・・・。決して売れなかったからなんて言わせない。彼女たちは大切なものを盗んでいきました、それはおっさんの心です。アイドル楽曲派(笑)の心をガッチリつかんでまさかの『ミュージックマガジン』誌ベストアルバム第1位。!「渚にまつわるエトセトラ」のカバーがアルバムの流れの中でまったく浮いてないのがすげえ。

なんだかキミが恋しくて / さよならポニーテール
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かわいい顔して「これか?これがほしいんだろ?」とえげつない言葉を浴びせながら心のやらかいところエグってくる。高校&大学デビューしそこなった非リア充おっさんホイホイ。彼女たちの音楽を聴いている40分の間だけ、ありもしなかったキラキラした高校時代を思い出して胸の奥がツンとなるのです・・・(いいちこを飲みながら)。なんと来月早くもニューアルバム発売。奴ら本気で俺たちを殺しにかかってるようだ・・・。しかしこのまま顔出し&ライブはしないつもりなのかしら。

CITY DIVE / 一十三十一
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ひとみといさんのことを知ったのはもう10年前。デビューシングルの『煙色の恋人達』をカウントダウンTVのオープニングで聴いて「なにこれ、超かっこいい」って即CD買いに走ったんだよな。でもそれからだんだん「思ってたのとちがう」っていうか俺の中でUAさんみたいなイメージになってきて、しばらく離れていたら・・・なんかいつの間にかまた超好みな感じに戻ってた!この、ねるとん紅鯨団~夢で逢えたらのウキウキする土曜の夜の感じ!ちょっとあざとすぎるような気もしなくもないけど、この波には乗らざるをえない。アーバン!

■マイブラいなくても大丈部門

Observator / The Raveonettes
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男女ボーカルに激甘メロディ。誰だ、「このスイーツ甘くなくて美味しいよね」とか言う奴は!甘いからスイーツなんだろが!うおおおおおお!!今回のアルバムも最高だぜええ!というのはひとまず置いておいて、マイブラ不在の間、彼らに影響されたバンドによるニューゲイザーというシーンが出来る前から活動していて、きっちり2年に1度くらいのペースでアルバムを出していて、しかもどれもハズレがないのに、いまいち日本では注目が当たらないのって、もしかして「どれも同じに聴こえる」からなのでは・・・と最近思い始めています。ちなみにアルバムとほぼ同時に発売されたEPもBPM早めのキャッチーな曲が詰まってて死にます。

Interstellar / Frankie Rose
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ヴィヴィアン・ガールズ~ダム・ダム・ガールズなどをドラマーとして渡り歩いた彼女のセカンドアルバム。こういう風にドラマーからソロやフロンとマンに転進した人たちって、なんだかものすごく突き抜けたポップセンスを発揮するイメージがありますね。たとえば?えーとデイブ・クロールとか・・・。でも書いといてアレですが、そういう経歴とか先入観とかすべて取っ払った上でこれは聴いて欲しい。ていうかそれらのバンドから「ジャングリーなギターポップかな?」というイメージをあっさり覆すほどのパワーがある。アルバム後半に向かってどんどん夜の闇が濃くなっていくような感覚も大好き。

とりあえず今回はここまで。残りの5本はまた次回・・・書けるかどうか自信ないのでとりあえずタイトルだけ挙げとくと、

■一生青春おっさん部門
・79 / Last Days OfApril
・Go Fly A Kite / Ben Kweller
■サントラ部門
・『Drive』 / Original Motion Picture Soundtrack


の3本・・・あれ?あと2本はそれまでに考えときます。お楽しみに!
by schooldeathco | 2013-02-11 11:14 | 音楽

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