アルバムレビューという名のUKロック自分語り(3)
2013年 04月 06日
というのも、マイブラはじめて聴いたの後追いな上にあんまり覚えてないんだよな。どうやらブリットポップの前にシューゲイザーというムーブメントがあったらしいと知って、その代表格であるマイブラの『愛なき世界』を聴いてみたのだけど、最初の印象は「眠い…」だった。同じシューゲイザーでもジザメリの方がわかりやすく轟音ポップで好きだった。しかしそのジザメリですら95年に発売されたアルバムは何故かアコースティックに振り切れたものだったし、同じくシューゲイザー代表バンドのライドも、95年にブリットポップ寄りのアルバムを出して解散と、シューゲイザーというシーン自体がブリットポップに呑み込まれたようだった。マイブラはすでに都市伝説化していた。
やがてブリットポップという熱狂が終わり、UKロック暗黒時代に突入するのだが、これ以降レコ屋のポップで「マイブラファン必聴!」みたいなコピーを見かけることが、やたらと多くなった。うるさくてありえないほど美メロなものの代名詞としてマイブラという単語が使われているようだった。でも「あれ、マイブラってそんなんだっけ?」と聴き返してみると、やっぱり全然違うんだよな。音は死ぬほど鳴ってるのにうるさくなくて、むしろ静か。絵の具の色をたくさん混ぜたら白になったっていうか。しかも聴く度に何かしらの発見や感動がある。マイブラすげえ!って心から思ったのってたぶんこの頃のような気がする。
そして新宿武蔵野館の上にかつてあったタワレコの試聴機で「マイブラ、ジザメリ好きは聴いて!」と書かれていて、「どうせまたいつものやつだろjk…」と斜に構えて聴いたら打ちのめされたのがスーパーカーのデビューシングル。日本でこんなバンドが…しかも自分より年下ってことが衝撃すぎて死んだのが97年。それから先の話はまたいつか。
MBV (2013)
なんでこのタイミングでこの内容なのか、つまり「なぜ2013年にラブレスのアウトテイク集みたいなニューアルバムを22年ぶりに出すのか」。自らの手で伝説に終止符を打とうとした?UKロックを再び盛り上げる為?金に困って?…その答えはTOKYO ROCKSのライブで!とか言ってたらあんなことになってしまった。
かつてはドラムンベースのアルバムを作ってるという噂もあったのに、いざ出てきたのがまさに「マイブラファン必聴!」のセルフパロディだったというこの驚きよ。スタローンがずいぶん間を空けてからロッキーやランボーの最終作を作った時もこんな気持ちだった。ケヴィンが突然プライマルに加入した時も驚いたけど、緻密に計算して動くようにみえて案外直感的なタイプなのかもしれない。そういやマニもプライマルに加入したらローゼスが再結成したけど、プライマルというバンドにはそういう力があるのかも。ぜひラーズの人もプライマルに入ってほしい。