これじゃないポーティスヘッド
2013年 11月 16日
ポーティスヘッドの新譜かと思ったら違った。マジースターの新譜が出るくらいだから、ポーティスヘッドが出てもおかしくない2013年。けど違った。この「母さん、買ってきてって頼んだのこれじゃない!」感よ。でもレコ屋の「P」の棚にあってジャケがこれなら誰も母さんを責められない。責めるどころか聴いた途端この素晴らしい出会いに感謝するはず。勘違いや誤解から生まれる恋というものがあるならば、このアルバムは最上級のサウンドトラックになるだろう。こんばんは、渋谷陽一です。
いや、ポーティスヘッドとは全く関係ないけど本気でこれ最高じゃないですか。抑え気味なボーカルと浮遊感、激甘メロディと微妙にダサいシンセにインディ好きならAIR FRANCEやTOUGH ALLIANCE、M83あたりを思い浮かべるかもしれない。おれの場合は中学生の時の土曜日の夜を思い出した。『ねるとん紅鯨団』から『夢で逢えたら』へ続く23時からのゴールデンタイム。そして周りの物音に細心の注意を払いながらウォッチする『ギルガメッシュナイト』のドキドキ感。そんな80年代後半〜90年代前半の週末のフワフワした空気が再生ボタンを押すたび部屋いっぱいに溢れ出す。ロマンティックな曲の途中で武田真治ばりにカットインする激アーバンなサックスも「ぼくの考えた大人のBGM」みたいでかっこいい。
ところでポーティスヘッドの方も最近フェス出演やソロ活動、映画『ドライブ』のサントラ(映画もサントラも傑作!)のアナログ盤を自らのレーベルから出したり、来年はデビュー20周年を迎えたりと活動がザワついてきているので、新作&初来日を気長に待ちたいところですが、そんななか日本からもこんな謎リリースが。サイトで試聴する限りは悪くなさそうだけど、やっぱり否めない「これじゃない感」が…。