ドラマみたいな恋がしたい
2007年 07月 17日
ドラマとかで見ることはあっても、現実世界では絶対に起こらないだろってことよくあるよね。たとえばレンタルビデオ屋で知らない女の子と同じDVDに手を伸ばしちゃって「…あ、すみません」「いえ、こちらこそ…」「……」「あの…」「…えっ」「もしよかったらウチで一緒に観ませんか」みたいなの。あるかー!ところで三連休の最終日の朝、終わらない仕事を片付けに会社へ行く支度をしていると、隣の部屋から若い男女の「アハハ」「ウフフ」という声が聞こえてきて「ちっ、朝っぱらから…死ねばいいのに」と思いながら、もちろん流していた音楽を止めて壁にぴったり耳を当てて様子を窺っていたところ、10秒くらいしんと静かになったあとに、突然「アアアアアァァァンもうイタいってばーーーーー」という女の叫ぶ声と、続いて男の「ほらここか、ここがええのんか」的な低い声やベッドがぎしぎしいう音が一斉に聞こえてきて1分近く続いた後にピタっと鳴り止んで静かになった。なにこの怪奇現象。これはやはりアレか。やはりアレなのか。いや、待てよ。ドラマだとこういう時のオチって絶対2人は強めのマッサージをしてました、みたいなのじゃん。「コラーおまえら何をやっとるかー!」「…え、マッサージですが。なにか」「マッ…いや、なんでもない(コホン)もう少し静かにやりなさい」みたいなの。早まるな。まだピエロになるわけにはいかない。一体2人はナニをしていたのか。もしくはナニをナニしていたのか。それを確かめようともう一度壁に耳を当ててみたところ、そのまま部屋の壁が四方にバターンと倒れて気付いたらそこは大きなスタジオの中。俺を指差してゲラゲラ笑う観客をぼんやり眺めながら、俺はフジロック最終日の朝のことばかり考えていた。オレンジコートで面影ラッキーホールが濃い男汁を撒き散らし、DEERHOOFがホワイトステージを毒キノコ色に染め上げている頃、レッドマーキーでは彼らの鳴らす「ディスコでビンタされる男の歌」に合わせて笑顔でステップを踏むインディーキッズの姿がモーフィングされてやがてマッサージをする男女の姿に変わった…夏。