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9月に観た映画
空気人形 ★★★★
たしかに観る前は「ただのオサレなファンタジー映画になってたらヤだなー」とは思っていたけど、こんなに切なくて、こんなに悲しい物語になるとも思ってなかったから不意をつかれて死んだ。ダッチワイフ=空気人形だったペ・ドゥナがとつぜん心を持って、人間のように振舞うコミカルでキュートな姿を描く前半からもうなんだか胸がぎゅっとなって、後半の孤独な老人との「手が冷たい人」のエピソードや、自分が生まれた工場でのオダギリジョーとのやり取りあたりは泣きっぱなし。たぶん映画の1/3ぐらいは泣いてた気がする。同じような題材を扱った『ラースと、その彼女』が、周りでは大絶賛だったのに、自分にはまったく引っかからなかった理由が、これでやっと分かった気がする。

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WEGが手掛けた音楽も死ぬほど素晴らしくて、サントラを聴くたびにまた色んな場面を思い出して泣けて困る。

あんにょん由美香 ★★★
『童貞をプロデュース。』の松江監督の新作は、2005年に急逝した林由美香がかつて出演した謎の韓国AVに迫るドキュメンタリー。きっとこんなに深く愛されたAV女優っていなかったんだなあ。かつての関係者が照れながらも愛しそうに(そして時に苦悶の表情で)語る姿を見ながら改めてそう思った(葬儀の時にかつて関係した「兄弟」たちが全員で棺を担いだというエピソードが微笑ましい)。それに比べると松江監督は彼女に対してかなり距離を置いているような気がする。だからこんな「お別れ会」で流すような、ある意味で「ぬるい」映画になってしまったのかもしれない。だけど平野勝之が故人を描くことに対して覚悟を求めるのも分かるし、かつて好きだった人と向き合うのが照れくさいという気持ちもすごくよくわかる、気がする。

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この作品も音楽の使い方がぐっときた。豊田道倫が書いた男のしょうもない未練を川本真琴に歌わせたりとか。前野健太のライブドキュメンタリーを描いた新作『ライブテープ』も楽しみ。

色即ぜねれいしょん ★★★
面白かったんだけど、やっぱりこれは童貞が描くファンタジー映画なんだと思う。だって『アイデン&ティティ』しかり、みうらじゅんの描く童貞って童貞の中でも勝ち組じゃん。なんだかんだ言いながら女の子と海でイチャイチャしたり文化祭のライブでヒーローになってるわけじゃない。そんなの全然童貞じゃないよ。教室の片隅で発酵してたリアル童貞なめんじゃねーぞ!と。『グミチョコレートパイン』を観たときもそんなイライラが募ったけど、面白いのは、最近の青(性)春映画では、タナダユキ監督の『俺たちに明日はないッス』がいちばんそういう童貞男子の鬱屈としたドロドロな感じをリアルに描けていたことだよなあ。どうしても男だと思い出を過剰に美化する傾向があるのかもしれない。

ドゥームズデイ ★★★
「死のウイルスが蔓延」→「その一帯を隔離して永久に放置」→「生き残りが北斗の拳のジャキ&ザコキャラ化」という無茶苦茶すぎる設定も、初期の新型インフル騒動における過剰報道やヒステリックな反応(海外で感染した学校をバッシングとか)を見ていると「んなアホな」と言い切れない気がする。yahooニュースのコメントとかmixiニュースの日記とかきっこに踊らされる人とか。やっと現実が映画に追いついてきたね!ゾンビとかマッドマックスとか「とりあえず好きなの全部入れちゃいました!」な闇鍋感覚が80年代ノットデット。グロいとか残酷とかを超えた次元で、真の意味で「悪趣味」な映像が炸裂していて面白かった。

マーターズ ★★★
だけど悪趣味具合でいえばこっちが今年ダントツ。ここまで観客に不快感を与える映画もなかなかないんじゃないかな。自分はけっこうグロ耐性はあるほうだと思ってたけど、精神的にキツい描写が多くてどっと疲れた。でも劇場で観れたのはよかった。もう二度と観たくない。

ウルヴァリン:X-MEN ZERO ★★★
自分達で改造パワーアップさせといてやっぱり殺せ!とか、今まで殺し合いしてたのに相手が他人に殺されそうになると「お前を殺すのは俺だ!」とか言って助けたり、愛してたのは嘘だったはずなのに本当は愛してたの!とか、どいつもこいつも素直に好きだと言えないツンデレミュータントばかりだよ!あと大事なことですが俺はX-MENシリーズを今までひとつも観たことがないのでこういう前日譚を観ても「そうか、これがあれにつながってたんだ!」という発見や感動はありませんでしたが、目からビームを出してる人が面白かったので十分楽しめました。どっかでシリーズ一挙オールナイト上映とかやらないかなー。

サブウェイ123 ★★
典型的なハリウッド産「平凡な人がとつぜん巨大な事件や危機に巻き込まれる」ムービー。そもそもそれを期待していたので、それ以上でもそれ以下でもなく楽しめました。余談ですが上映スケジュールをチェックして「新宿オスカーっぽいなー」と歌舞伎町に向かったら(あのビルに入ってる4館は現地に行くまでどこでやってるかわからない)、新宿オスカーが無くなっててビックリ!たしかに上映環境はシネコンに比べると劣悪だったけど(元は舞台劇場だったらしく、スクリーンがやけに奥にある。あと傾斜がほとんど無いので前に人が座ると頭でスクリーンが見えない)、あそこで観るB~C級ホラーがたまらなく好きだったんだよね。また歌舞伎町から味のある映画館が消えてしまって寂しい。

女の子ものがたり ★★
やっぱり西原理恵子原作の映画化は鬼門だなあ。貧乏だけど強く生きる!がテーマのはずなのに、彼女たちが周りより飛び抜けて可愛くて垢抜けているのはどういうことなのか。あといちいち説明過多な台詞も鼻についた。警察に逮捕されて連行される場面を見ている野次馬に「実はあの家族って○○だったらしいよ~」って観客や登場人物に対して事情説明させるのって、日本映画独特の演出のような気がするけど、あれって本当にセンスないと思う。

ちゃんと伝える ★
「難病もの」と聞いて嫌な予感はしたんだけど、それでも大好きな園子温監督だから・・・と期待したら典型的なお涙頂戴の展開でガッカリ。「ガンで余命わずかな父親と向き合おうとした主人公が、実は自分も父親以上に篤いガンであることを知る」という設定がアクロバティックすぎるのはまあいいとして、そもそも「ちゃんと伝える」と言いながらこの家族のリアリティの無さはなんだろう。父子の会話や行動があまりに非日常すぎて、てっきり最後にシックスセンス的なものすごいオチ(実は全員死んでる等)があるのかと思った。しかしウルトラ傑作『愛のむきだし』の次がこれって・・・。あーゆでたまごが『キン肉マン』の後に『スクラップ三太夫』を連載したようなものかー。
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by schooldeathco | 2009-09-30 00:19 | 映画 | Comments(0)
白い膀胱
今日は仕事で朝早かったのでもう寝るかーと早々に布団に入ったのだが寝られない。来たんだ、アイツが。あの半年に一回ぐらいの割合でやってくる「止まらない残尿感」が!いくらおしっこをしても消えない下腹部のマンモスヤッピー。そう、いつまでも消えないあの夏の別れのように・・・。もしかしてこれは何かのメッセージなのだろうか。眠ろうとする意識を妨げようと寄せては返す波打つ膀胱が、まるで何かを告げているかのようだ。寝ちゃダメ、あなたには今すぐにやることがあるのよ、重大な使命が。「ハ・・・ル・・・」ハル・・・まさかハルマゲドンですか!ついに人類は最終戦争によって滅亡の道へと・・・。つまりそれを防ぐのが私の使命なのですね!「ハル・・・ハルンケアを飲みなさい」

こうして夜中3時の刹那をみなさんと共有できるのがインターネットの素晴らしいところですね。

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First Love / Emmy the Great (2009)

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もしも今年の「可愛いのはジャケだけじゃないのよ選手権」(この企画おぼえてる人いますかね)を選ぶとしたら、間違いなくこのエミーたんのデビューアルバムだよなー。ジャケよし内容よし、それでタイトルが『初恋』だなんて出来すぎでコワいくらい。そんなUKニューフォークの傑作が、怒涛のボーナストラック(アッシュやピクシーズのカバー含む全9曲!大量殺戮兵器に認定されてもおかしくないくらいの破壊力)を追加して待望の日本盤発売&来月の朝霧に出演決定ですよ!これで一気に人気者になりそうな予感。しかし今年の朝霧のラインナップはなんだかいきなりロキオンフェス化したねー。はたして今年こそライブを観れるのか、俺。あとすっきりしたのでもう寝ます。
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by schooldeathco | 2009-09-22 02:58 | 音楽 | Comments(0)
まだドラクエ中
勤勉でまじめな人を評するのに「あの人が『疲れた』って言うのを聞いたことがない」みたいなのあるじゃないですか?そんな感じでいうと今日の俺は「あの人が『死にそうだからボヘマかけて』って言うの聞いたことがない」人だったといえるね!なんの話かといえばもちろんドラクエ9の話です。え、ラブプラス?ハートゴールド?ソウルシルバー?なんですかそれは。新手のドラッグかなにかですか?

何の因果か仕事上の付き合いだけでプライベートではそれほど親しくない(少なくてもちんこにぎりあって挨拶(ともだちんこ)とかはしていない)間柄の中年男たちと4人でドラクエの通信プレイをやるハメになったのですが、なんだかお互い腹の探り合いで、死にそうになっても素直に「助けてください」と言えず、逆に気を使って無駄に回復呪文唱えあったりして、結果パーティ全滅で苦笑い、みたいな場面が多かった。船頭がたくさんいるのはなんとやらだけど、「めいれいさせろ」と言える人間がいないのはもっと問題かもしれない。やっぱ俺のかしゆか(僧侶)は出来た子だったんだなー。

それで思ったのはドラクエの赤外線通信プレイは「仲の良い友達同士が遊ぶ」には適しているけど、「知り合ったばかり同士が仲良くなるために遊ぶ」にはちょっとしんどいんじゃないかと・・・。いや、どうだろう。男女の場合はまた意味合いが変わってくるのかな。たとえばベタだけど合コンでドラクエはアリなのかもしれない。けっこう人間性がわかったりするし、一緒に冒険をすることによって吊り橋効果的なものが生まれる可能性も・・・まあ完全に無いとは言い切れないだろう。いずれにしても俺には関係ないことだ。「まだ冒険を続けますか?」いいえ。「おつかれさまでした。このまま電源をお切りください」おつかれさまでしたって文字を見るたびに現実にかえる。

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Lightning Runaway / the pillows / Ben Kweller (2009)

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知ったときに「何故?」が飛び交ったタワレコ企画による異色コラボシングル。しかし実際に聞いてみるとこれが、最近すっかり枯れまくったベン君の声が躍動感溢れるピロウズのバンドサウンドに乗っかって、アラ懐かしくていい感じ。この勢いで間近に迫った、くるりの音楽祭やら日本の中堅バンドとの対バンやら、明らかに客層違うだろ・・・なアウェイ感溢れる来日も成功させてほしい。
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by schooldeathco | 2009-09-14 23:35 | 音楽 | Comments(0)
7~8月に観た映画
3時10分、決断のとき ★★★★
昨年が『エグザイル/絆』だとしたら、今年はこれ。男泣きの大傑作。戦争で足を奪われ義足生活の男。妻との気持ちはすれちがい、息子からは軽蔑のまなざし。そんな主人公が借金返済のために盗賊団のボスの護送を引き受ける。息子と自らの誇りのために頑として護送を続ける主人公と、「護送される側」でありながらもその熱に打たれ不器用ながらもこたえようとするボス。「勝ち目のない戦いに挑む男」と「最初は敵同士だった男がしだいに心を通わせ共闘関係を結ぶ」という俺の大好きな2大テーマが描かれているのだから、そりゃあぐっとこないはずがないですよ。

愛を読む人 ★★★★
タイトルから「朗読で愛を伝える」という甘いラブストーリーかと思いきや、静かだけどずっしり重いボディブローのような話だった。映画を観終わった後もずっと「あの台詞は、あの表情は、何だったんだろう」と考えさせられた。たしかにこれは愛の物語だと思う。傑作。

96時間 ★★★
わはは!これはすごい。娘のことを溺愛する元CIA部員のお父さんが、U2のヨーロッパツアー追っかけ中に誘拐された娘を助けるために暴走する。「娘を救うためならエッフェル塔も破壊する」という台詞もセガールが言えばギャグだけど、リーアム・ニーソンが言うと「うわっほんとに壊しそう」と思えるからすごい(それはそれで笑えるんだけど)。情報を得るために友人の奥さんを銃で撃っときながら、「ごめん、あとで奥さんに謝っといて」と言い捨て、激昂した友人を返り討ちという展開にはさすがにちょっとヒいた(嘘です爆笑した)けど、娘に対する父親の愛情ってたしかにこういうバイオレンスなところがあるのかもしれない。

サマーウォーズ ★★★
面白い!のだけれど、ラストの展開と仮想空間OZの描写がちょっとアレだったのがなー。まあでも、そんなことがどーでもよくなるくらい現実パートでの「あの夏」の描写は相変わらずサイコー!(個人的な体験とかなり重なった)だったし、「おなかペコペコなのと、ひとりぼっちはいくない!」というシンプルなメッセージがぐっときた。観終わってすぐに後ろの席の男が「見事な中二映画だ!」ってものすごく嬉しそうに話してたのが印象的。いったいこの映画を(好き嫌いは別にして)面白くないと言える人なんているのだろうか。

ディア・ドクター ★★★
善人にも悪人にも見える鶴瓶がナイスキャスティング。というか、たいていの人間なんて「いいひと」か「わるいひと」かで単純に語れるはずもなくて、いくら聖人と呼ばれる人でも自分の弱さを隠すために嘘だってつくし、その一方で雨の中で子犬が震えていれば「愛する資格」なんてなくたって自然に手を伸ばしてしまうんじゃないの?人間だもの。そんな当たり前の人間の複雑さが、ごく自然に、なおかつポップに描かれててよかった。

トランスフォーマー・リベンジ ★★★
2作分を1本に詰め込んだような圧倒的なボリュームと、TDLのアトラクションを体験したかのような心地良い疲労感。すぐに犬がカクカクしてたりとか昔マガジンに連載してた『激烈バカ』レベルの下ネタがしつこすぎて笑った。アメリカ人ってこういうの好きだよなあ。

ノウィング ★★
わはは。人類滅亡の危機を予測しながらも右往左往するだけで結局何もできない「ダメなキバヤシ」の物語。観客に「唖然」と「爆笑」の2択を迫る、これぞまさにニコラスケイジ映画!なトンデモ展開に死んだ。『ウィッカーマン』『ネクスト』『バンコックデンジャラス』と、ここ最近の主演作を並べるだけで目眩がしてくる・・・。しかし、たとえニコラスケイジに興味なくても飛行機墜落や地下鉄の事故シーンだけはやけに力が入っているので、このシーンだけでも見る価値はあるかと。

30デイズ・ナイト ★★
吸血鬼というよりかなりゾンビっぽい怪物集団に襲われた村の物語。うん、これはゾンビ映画と考えていいでしょう。ゾンビ映画を観るときはいつも「もし自分がこの状況に置かれたら・・・」ということを考えるんだけど、「頼りになるブラザーを仲間にする」は今回も鉄板として、主人公が最後に取った行動には「その発想はなかったわー」と震えた。ゾンビが溢れる未来に向けて新たな選択肢を与えてくれたことに感謝したい。
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by schooldeathco | 2009-09-05 12:56 | 映画 | Comments(0)