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マツコの知らない映画の中のビールの世界
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映画を観るのが好きだ。こんな映画感想ブログをやってるくらいなんで、「そりゃそうだろ」でしかないのだけど、いつの頃からかもしかして自分は「映画を観るのが好き」というよりは「映画館で映画を観るのが好き」なのではないかと、もっと言えば「映画館で映画を観た後に酒を飲むのが好き」なんじゃないかと思うようになった。なので三度目の緊急事態宣言下で映画館帰りに居酒屋に行っても酒を飲めない今、どうも映画館に行く気がしない、という事実がそれを裏付ける。俺って映画好きなわけではなく、ただの酒クズやないかと…。

そんな感じなので、観てる映画の中で登場人物が酒を飲む場面が出てくると嬉しくなる。いや、なぜ嬉しくなるのかは正直分からないが「酒を飲む」シーンが大好物なのだ。アメリカ映画で主人公が帰宅しておもむろに冷蔵庫から瓶ビールを取り出し、スポーンと栓を開けてそのままグビグビ飲(や)るのも好きだし、韓国映画で黒スーツ着た怖そうな人たちが卓を囲んで美味そうな肴をワシャワシャかき込みながら緑色の瓶のソジュをストレートでやるのもグッとくる。でもなんといっても好きなのは日本映画の居酒屋シーンだ。居酒屋じゃなくて宅飲みでも、なんだったら缶ビールを飲んでるだけでいい。

しかしこの楽しさは、とあるひとつの要素によって大きく左右されることになる。飲んでいる酒が、実在のものであるか、そうでないかだ。画面に瓶ビールや缶ビールが映ると、その銘柄を確認するべくじっと目を凝らしてみる。すると体感でいうと2/3以上は架空の銘柄である。映画をつくるにはとてもお金がかかるし、そこにはスポンサーや製作委員会や俳優の所属事務所や…色々な人たちが関わっている。つまり、いわゆる大人の事情がある。それによって、画面に映し出される瓶ビールのラベルには、見たことのないデザインや文字(ありえないほどデカいフォントで「BEER」とか)が並ぶことになる。明らかに現代日本を舞台にした「リアルな」映画でこれをやられると、少しだけテンションが下がる。いや、物語設定上あえてそうしている場合もあるだろうし、これらはなにもビールに限った話ではない。なので制作側を責める気は毛頭無い。ただ理由や事情はどうあれ、映画内で登場人物が自分が飲んだことのあるビールを飲んでると少しだけ嬉しくなるのは間違いないし、なんなら映画館を出たら同じビールを飲もうかとさえ思う。やっぱりただの酒クズやないか…。

そして映画の中に自分の知ってるビールが出てくると嬉しくなると同時に、「なぜ“その”ビールなのか」を考える。たとえば最近話題になった映画でいうと「花束みたいな恋をした」で菅田将暉と有村架純が演じるカップルが好んで飲んでいるのはスーパードライだ。サブカル大好きな若者である二人が「おっさんサラリーマン世代の代表ブランド」のようなスーパードライを飲むのは興味深い。しかも二人は金銭的にそれほど余裕があるわけではないことも劇中で描かれている。それなのに彼らは発泡酒や第3のビール(※)ではなく本物のビールを買っている。さらに信じ難いことに、一目でスーパードライとわかるあの銀色の缶を持ちながら二人でデートよろしく駅からの長い帰り道を飲み歩きしているのである。あの自意識高そうな二人が?人目を気にせずに?嘘だろ?そこはファッション的には「よなよな」のオレンジ缶とかじゃないのか?「知ってる?タモリが一番好きなビールはよなよなビールなんだよね。タモリ倶楽部でビールが出てくる時にタモさんのグラスだけ色が濃いらしいよ。だから本麒麟のCMで「美味いねえ」って言ってるタモさん絶対嘘だよね(笑)」「うん、ていうかビールのCMのパターンって芸能人が飲んで「美味い!」って全部同じじゃない?(笑)」とか、そういう会話するんじゃないの?クラフトビールは駅前のコンビニじゃ売ってないけど、よなよなならローソンや一部のセブンでも売ってるでしょ?なのにスーパードライを選ぶのは「逆に」とか「一周まわって」とか「美味しんぼで鉄のスプーンの味がするって言われたからあえて」的なサブカルしぐさなのか?…いや違う、あれは色々なディテールにこだわって丁寧な生活や人と違う生き方を目指しているように見える二人が、実は何者でもないone of themであることをスーパードライによって表現しているのでは…!そういう妄想をするのがとても楽しい(しかし後日、かつて菅田将暉がスーパードライのCMに出てたことを思い出すのであった)。

※ちなみに実在する発泡酒や第3のビールが映画内で登場するのは「愛はなんだ」の金麦、「素晴らしき世界」のスタイルフリー(もしかしたら違うかも)、「百円の恋」の淡麗生など

一方、居酒屋のシーンでは登場人物が「とりあえず生」ではなく、瓶ビールを傍に置いているとまず嬉しくなる。そしてそれが実在する銘柄なら最高だ。でも基本的に登場人物にビールの銘柄を選択する(=自分が妄想する)余地はない。居酒屋で2種類以上の瓶ビールを置いてる店はそれほど多くないからだ(ちなみに日本映画でとてもよく見かける「例の居酒屋」が神保町にあった。去年の5月に閉店してしまった「酔の助」という店で、結局自分は一度も飲みに行く機会はなかったのだが「どれどれ、実際はどんな瓶ビール置いてたのかしら」とネットで調べてみたら、スーパードライにクラシックラガーに熟撰(渋い)のみならず、ヒューガルデンにモレッティまでメニューにあって笑った。そんな店も中にはある)。そういうときは登場人物の側ではなく、店の側に立って「(登場人物は生ビール飲んでるけど)あーこの雰囲気なら赤星は間違いなく置きたいだろうな〜でもキリンの営業と古くからの付き合いで一番搾り以外は置けないんだろうな〜」などと勝手に妄想するのがやっぱり楽しい。

あとはビール以外の実在の酒が出てくる話(「百円の恋」のホッピーとか)や、逆に架空のビールの面白さもあったりするのだけれど、それはまた別の機会に(って絶対書かないパターンのやつ)。そして、こんなこと考えて映画観てるのもしかして自分くらいなのかもと思ったりもするので、いつか「マツコの知らない映画の中のビールの世界」とかあったら呼んでほしい。いや、そんなんテレビの方が確実に大人の事情で無理だろ…というわけで、このブログを書いてみました。

※ちなみに冒頭の画像は「そこのみにて光輝く」に出てきた世にも珍しい「プレミアムじゃない普通のモルツ(旧ラベル)」です。いつかこの食堂行ってみたい…。

# by schooldeathco | 2021-05-03 23:13
エヴァとあの頃
シンエヴァを観てからずっと何かを書きたいと思いつつ、かといって考察系の文章なんて書けやしないのだから得意の自分語りをしようと思う。得意っていうかそれしか書けないのですが。シンエヴァのネタバレは無いです。

シンエヴァの前に2000年代初頭のモーヲタを描いた「あの頃。」を観たこともあって、自分の中でちょっとした2000年前後ブームが来ている。その当時の出来事を思い出したり音楽を聴いたり。その流れで本棚に眠る1999年のクッキーシーンを手に取ってみたら、ちょうど「The Soft Bulltein」が出たばかりのフレーミングリップスが表紙で、ディスクレビューで聴いた衝撃を「数年前にエヴァンゲリオンを観て受けた衝撃」に例えられていて噴き出してしまった。今までリップスをそんな目で見たことなかったから。でも当時自分は確実にこれを読んでいるわけで、その時自分は何を思ったんだろう。また別のページには「世間ではすっかりエヴァンゲリオンを話題にする人はいなくなったが」とも書いてある。え、1999年ってそんな感じだったっけ。ただ間違えてはいけないのはここでいう「世間」はいわゆる「一般世間」のことではない(はず)。そんなメジャーな場所で、お茶の間レベルでエヴァが話題になるなんてことは最初からなかった(はず)。あくまで当時コアな音楽雑誌だったクッキーシーン読者層という意味での「世間」だ(と思う)。

さっきから曖昧な書き方しかできないのは、自分の記憶力のヤバさもさることながら、当時の自分がプライベートだけでなく仕事でもそういった界隈にいたので(エヴァの関係者という意味では無いです)その辺の一般的な感覚や距離感が麻痺していたことが大きい。自分よりもアニメを好きな人が周りには圧倒的に多かったので、仕事の後の飲みの席でも自然とそういう話が多かった。エヴァにしてもそうだ。自分もTVシリーズは一通り見ていて「これは他のアニメとは違うぞ」としたり顔で一目置いていたけれど、そこまでハマっているわけではなかった。旧劇場版も映画館に観に行っていない。だからどっちかというと周りの人間に夜な夜なつぼ八で洗脳されて、いつのまにか「エヴァが好きな自分」がつくられていったように思う。当時は今ほどネットに考察とかもなかったから、どこからか仕入れてきた荒唐無稽な説や独自の解釈をビール片手に繰り広げながら馬鹿みたいに飲んで、翌朝全部忘れてゲロ吐きそうになりながら通勤電車に揺られる。そんな毎日だった。だからきっと当時クッキシーンを読んだ時も「リップス=エヴァ」をその中のひとつとして自然と受け入れてたかもしれない。そしてもしかしたらどこかで「俺の説」として披露してた可能性すらある。こわい。

いや、それも盛ってるな。ほぼ毎日飲んで二日酔いになっていたのは事実だけど、そんなにエヴァの話ばかりしてたわけではないし、仕事から離れて週末に飲むときは、次のフジロックどうするとか安い飲み屋見つけたとかあいつら別れたらしいよとか、あとはくだらない話ばかりしていた。そのことについても書きたいのだけれど、また今度。

話はどんどんエヴァから離れていくけれど、当時の音楽雑誌はクセが強いレビューが多かった。でもそれを面白がって読んでたのも事実だ。タナソーがKID A(2000年)のディスクレビューを「助けて。」で埋め尽くしたのは有名だけど(だよね?)、そういえば自分がフレーミングリップスを初めて聴いてみようと思ったのは、ロッキンオンに載ったタナソーの「Clouds Taste Metallic」(Soft Bull teinの前作)がキッカケだった。細かい内容は全然覚えてないけど、「雲が鉄の味するってヤバくない?タイトルだけじゃなくて曲も全部こんな感じなんだぜ」みたいなことが書かれていて興味を持ったんだった。たしかディスクユニオンかレコファンでCD買ったのかな。それからすぐに心の中で「世界でいちばん好きなバンド」の座に収まり続けるのでした。レディオヘッドといえば、芸人の永野がこないだ配信で「レディオヘッドはOK COMPUTER以降、俺の嫌いな人種が好きっていうようになって嫌いになった。なんでロック聴くのにこんな勉強したような気分にならないといけないんだよ」って言っててめちゃくちゃ笑った。「ロッキングオンは情報よりも思想が強い」とも。永野に対しては好感度しかない。

ほら、こうやってエヴァについて書きますと宣言しながら関係ない話をとりとめもなく書いていくのも当時のスタイルっぽいですよね。このまま2万字いくまで頑張ろうかな。今のロッキングオンがどうなっているかは知らないけど、表紙がおじいちゃんor死んだ人ばかりになっていることは定期的に観測しています。

時は飛んで2007年。新劇場版の第一弾となる「序」が公開されます。この頃にはエヴァについて考えたり話したりすることも全くなくて、正直そんなにテンション上がってなかったし、なんなら映画館じゃなくてもあとでレンタルでもいいや、くらいに思ってた。それが今回は「一般世間」レベルでも話題になってたし、聞こえてくる評判もとても良かったこともあり、公開してずいぶん経ってから観に行ったんだった。しつこく高校時代の同窓会に誘われて「そんじゃ、みんなの老いた姿でも見てやるか…」とひねくれた気分で行ったら、思いの外楽しかった!なんだよ全然変わんないじゃんみんなたち〜っていう爽快な気分だった。心のどこかでは「あいつ借金で首が回らなくなって消息不明なんだよね…」みたいな話を期待していたかもしれない。そうやって楽しい思い出をぶっ壊して人の気持ちを鬱々とさせたり、人の不幸に同情しつつ腹でニヤリ笑うのがエヴァだろうが!と。言い過ぎました。だけど、この新しいエヴァを観て「あ、今度のはそういう感じなんだ」「うん、これなら知ってる」という謎の安心感があった。もうあんなにめんどくさい思春期みたいな気持ちにならなくてもいい。それは次の「破」でも同じだった。シンジもあんまウジウジしてないし(あのシンジが!)、こっちまで気持ちが前向きになるような映画だった。エヴァのことだからもちろん油断はできないけど、これはあるんじゃないか。いいぞ、そのまま行ってくれ!

次、「Q」の話する〜?
ところでこのブログは映画の感想ブログでもあるので、新劇場版鑑賞時の感想を振り返ってみよう。

たちまち当時の思い出がブワーっとよみがえってきて「そういえばあの頃は飯島愛がTバックを履いていたなあ…」などといった嬉し恥ずかしのギルガメッシュ・モードに突入してしまった
・うかつに感想書くとバカと思われるから書きたくないけど、使徒がものすごいかっこよくて面白かった!

旧作よりも登場人物が悩む度合いが減ったというか、それを乗り越えようとする前向きな意志が描かれていたのが大きな変化
エヴァって部屋でひとりで観るものだと思ってたから、上映後の拍手とか映画館を包む一体感には、前作に続きちょっと感慨深いものがあった

昔は長い文章書いてたのでサマって引用しましたが、概ね好印象です(ギルガメといえば、故・飯島愛もエヴァ好きを公言してましたね)。

それがQはこう。短いので全文紹介します。

ヱヴァンゲリオン新劇場版:Q ★
これはひどい。心の底から絶望した。次回作?そりゃ観に行くに決まってんじゃないですか。


わはは、星ひとつです!何年かぶりに自分の文章読んだ俺が絶望しましたね。タナソーみたいに「助けて。」で埋め尽くさなかっただけマシだけど。だって当時の俺は全然絶望なんてしていなかったから。むしろ「これはひどい」と言いながら腹の中ではワクワクしていた。やっぱり序と破はサービスサービスだったんだって。エヴァはこれじゃなきゃって。なんせ14年ぶりに同窓会顔出したら、こないだまで成功してブイブイ言わせてるって聞いてたシンジ君がみんなから激詰めされてるんだもの!いや、俺そこまで性格悪くないよ!!…ってこのセルフツッコミもあの当時スタイルですね。あ、このメタ視点も…ってもういいか。

そんな感じ迎えた今回のシンエヴァですが…何を書いてもネタバレになってしまうので、詳しく書くのはもう少し時間が経ってからにしましょうか。ってこのブログ今や誰も読んでねーよ!内容全然理解できていないことを「何を書いてもネタバレになるからやめときます」って言い換えるのやめろ!

ちなみにフレーミングリップスですが、The Soft Bullteinをオーケストラで再現した20周年ライブ盤が去年出ているので、シンエヴァの裏サントラとしてみんなで聴こうぜ!

# by schooldeathco | 2021-03-20 16:01
今年観た映画ベスト31
今年劇場で観た新作映画は31本でした。去年は64本だったので半分以下なのかー。それにしても大変な一年でしたね。バタバタして映画の感想も書けなかったので(言い訳)、最後の最後にメモ帳見たり頑張って思い出しながらまとめて書きます。調子乗って順位付けしてみましたが、今年観た映画で「これはひどい」みたいなのはなかったし全部好きな映画です。

1位 ミッドサマー
こういう頭の良い人がつくったホラーはほんとに苦手(大好き)だよ。この監督にドッキリ考えさせたらエグいのがきそう。「もう二度と観たくない度」でいえば前作「ヘレディタリー/継承」の方が上だけど、今作も思い出したくないのについついこの映画のことばかり考えてしまう日々が続いてとてもつらかったです(大好き)。

2位 ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
しみじみよかった。国も年代も境遇も全然違うのに、ずっとずっと懐かしかくて愛おしくて、なんでもない場面でもずっと泣いてしまった。「あ、ヨーロッパじゃなくてアメリカの話なんだ?」っていうくらい若草知識ゼロだったけど、今日からこの映画を「おいらの若草物語」って呼びたい。自分のことおいらって言ったことないけど。

3位 透明人間
そうそう、こういうの。こういうのを求めて週末映画館に行くんだよなーと。たとえばあまり普段映画を観ない人に「今年いちばん面白い映画何だった?」って聞かれたら「と、とうめいにんげんって言うんだけど…そう、人間が透明になる映画で…」ってはにかみながら答えると思う。

4位 佐々木、イン、マイマイン
スクールカーストなんて言葉も知らなかったあの頃。見た目も性格もそんなに似てるわけでもないのに何故かいつも一緒にいた。きっかけは机で前後になったからとかそんな理由だったと思う。あいつら元気かな。そんなふうに俺も誰かに思い出されることがあるのだろうか。

5位 ブルータル・ジャスティス
無表情でまったり軽口を叩き続ける二人のおじさん…からの【突然の死】\(^o^)/がサウナ&水風呂の繰り返しのように押し寄せてきて完全に昇天した。

6位 僕の好きな女の子
前野健太の「友達じゃがまんできない」は公園でどこかのカップルの会話を盗み聞きして書いたという話をネットで読んで、ますますこの映画のことが好きになった。とにかくラストがほんとにビックリしたんだよ。

7位 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー
めちゃくちゃ楽しかった。CHAIの「NEOかわいい」とかもそうだけど、こんなふうに新しい価値観がポップにアップデートする瞬間を目撃できるのはとても楽しい。

8位 パラサイト 半地下の家族
そりゃ面白い。めちゃくちゃ面白いですよ。でも「万引家族」と同じように、同じ境遇の人たちがこの映画を観ることはきっと無いんだろうなってことを考えると、ちょっとモヤる。

9位 1917 命をかけた伝令
戦争こわい戦争はんたい。ハードコアな走れメロスというか、「ダンケルク」でちょっと期待外れだった部分を埋めてくれるような映画だった。

10位 はちどり
「先輩、好きだったのは前の学期の話ですよ?」なんて残酷な、でもリアルな言葉だろう。「金正日って死ぬんだ?これは万歳でいいの?」も笑った。

11位 TENET テネット
やっぱりノーランはロマンティックだなー。

12位 思い、思われ、ふり、ふられ
大好きな映画「アバウトタイム」が劇中で予想以上に推されていたのだけど、グッと来るポイントはそれどころじゃなかった。そして浜辺美波が人生2周目っていう説もあながち嘘ではないのでは…って思わせるほど人生の機微みたいなものを演じ切ってた。クラスメートと並ぶ画がシュール過ぎて笑っちゃった。

13位 鵞鳥湖の夜
中国の田舎の町並み描写がグッとくる。絶対にあそこでは迷子になりたくないけど食堂で読めない料理注文したい(マズ美味そうな牛肉麺!)。そして前作「薄氷の殺人」でも出てきたあの謎のディスコダンス。日本で言う盆踊りみたいなものなのかな?かっこよすぎる包帯の巻き方も真似したい。

14位 ラストレター
福山雅治のビジュアルに騙されそうになるけど今冷静に考えると完全に通報案件だし「また岩井俊二がやってらー」って感じなんだけど、猫が天国に行ったばかりで情緒不安定だったので「たとえ死んでも忘れなければ生きている」というメッセージに自分でもどうかしてるほどおいおい泣いてしまった。

15位 ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
そうそうこういうの…パート2。ゲロ吐く場面がある映画はいい映画という定説(定説?)があるけれど、ヒロインが「嘘つくと嘔吐する」という設定なので楽しくないわけがない。洋画の字幕でネトウヨとかパヨクなんてはじめて見た。監視カメラのざらついた映像をチェックするときの「まるで日本のホラー映画だな」も笑った。

16位 海辺の映画館―キネマの玉手箱
あんまりこういう言葉は軽々しく使いたくないけど、まさに「遺言」みたいな映画だった。とにかく公開してくれてありがとうございますだし大林監督のおかげでこんなに映画を好きになることができました…という気持ちで胸いっぱい。

17位 初恋
めちゃくちゃ元気出た。ベッキーをはじめ、役者がすこぶる楽しそうに演じてるのが良いですね。最後はホームセンターでの殺し合いになるんだけど、イコライザーみたいにスタイリッシュじゃなくてひたすら泥臭い。これはいい三池映画。

18位 私をくいとめて
あまちゃんファンとしては、のんが橋本愛と再会してからのやりとりに泣くよね…。しかし結局最後まで「彼」の心の内が見えなかったような…運転中に人の本性は現れるというけれど(俺調べ)、車の中でぼそっとつぶやいた一言といい、ちょっとこの男大丈夫なんかなという不安。

19位 のぼる小寺さん
体育館で2つの部活が合同で使うのあったなー。女子バレー部とかだと視線が気になっていつも以上に頑張っちゃうやつ。「ムカつかないの?」「みんな寂しいんだなって思うことにしてる」

20位 スパイの妻
黒沢清にしてはフツーというか真っ当な映画だったな…。

21位 フォードvsフェラーリ
車もレースも興味ない、ペーパードライバー歴20年以上の私ですが、これは燃えた。奥さんが行動爆走する場面やお偉いさんを助手席に乗せてからの泣き芸も最高だった。

22位 ランボー ラスト・ブラッド
撃つとか殴るだけじゃなく、敵の肉体を「ちぎる」「えぐる」のがランボー。「おまえの心臓えぐり出してやる」ってフツー例えというか脅しだと思うじゃんね…。

23位 男はつらいよ お帰り 寅さん
はっきり言って名場面集だしラストはまんまニューシネマパラダイスなんだけど、映画としてというより正月行事としてのこれこれ…感があった。なぜか吉岡秀隆の目がずっとガンギマリだったんだけど、だ、大丈夫だよね…。

24位 星の子
90年代サブカルキッズとしては永瀬正敏と原田知世が夫婦役というだけでカクテルパートナー永遠に飲めるよね…。

25位 ロマンスドール
蒼井優が出るとどうしても山ちゃんの顔がチラついてしまう…。えっそのまま?しかも名前まで同じで売っちゃうんだ…これは広義の意味でNTRものってことでいいのかな…?ピエール瀧が逮捕される場面があってウケました。

26位 デッド・ドント・ダイ
おいジャームッシュ、あんたがどんだけ偉い映画監督か知らんけどね、ゾンビ映画でやっていいこととダメなことがあるんだぜ?いや、ないでしょ?ゾンビは自由だ!それにしても、ねえ…という気持ち。

27位 カセットテープ・ダイアリーズ

パキスタン移民のイギリス在住の青年が劇中でも言及されるスミスではなく、スプリングスティーンに行くというひねくれ具合が興味深い。放送室で好きなレコードかけて逃げるって万国共通なんだねーとか。

28位 リアム・ ギャラガー アズ・イット・ワズ
リアムの可愛げがすごい。

29位 アルプススタンドのはしの方
スクリーンが眩しすぎて目が潰れた。グラウンドどころかアルプススタンドのはしの方にさえ俺の居場所はなかったんや…。

30位 悪人伝
なんか思ってたのと違った。「ベテラン」系のちょっとコミカルな方の韓国ノワール。マドンソクのアイドル映画だと思えば行けるのかもしれないけど、マドンソク萌えみたいなのも個人的には無いから厳しかった。

31位 ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋
たしかにラブロマンスとしてなら楽しく観れますよ。「新聞記者」と同じようになんていうか覚悟が足りないというか、自分たちの周りだけで気持ちよくなってんじゃねーよ…って思ってたら最後にそのままズバリの場面が出てきてさすがに笑ってしまった。

# by schooldeathco | 2020-12-31 23:35
不要不急のうどんツアー2020
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そうだ
うどん食べに行こう

そう決めて香川行きの航空券とホテルを予約したのが、旅立つ1ヶ月前。その頃のぼくらは飼い猫のなーちゃんが突然いなくなったショックと悲しみを心に抱えながらも、寂しいからこそ明るく毎日を過ごそうと決めていた。なーちゃんのいない寂しさはきっとなーちゃんじゃないと埋められないけど、どんなに寂しくたって腹は減る。前に進もう。うどんを食べに行こう。

それがまさか日本がこんなことになるなんてな。学校は休校になり、エンタメを中心に自粛の波。たしか9年前もこんなことがあったっけ。正直僕らも少しだけ迷った。特例で航空券を直前にキャンセルしても無料だという。アホか。そんなことで、そんなことで僕らの「うどん食いたい」という気持ちを止められるものが。こんな今だからこそ僕らはうどんを食べにいかなければならない。「経済を回そう」なんて大袈裟な気持ちは微塵もない。極めて個人的なものだ。それはもはや意地というか祈りにも近いものだった。

当日、朝6時発のリムジンバスに乗って羽田空港に向かう。今回のうどんツアーは、家を出る時間から2泊して家に帰る時間まですべて妻によって厳密にスケジュールが組み立てられている。「うどんは別腹」と言い張るうどん狂の妻は2年前にもひとりでうどんと温泉をキメに行く四国ツアーを敢行してるのだ。さっきは偉そうなこと書いてすみませんでした。はい、私は妻がいなければうどんを食べることすらままならない男です。

1時間ちょいのフライトで高松空港に着きました。こんなに近かったのか。機内は思ったほど空いてなかったけど、スーツ姿ばかりで旅行っぽい人は少なかったですね。飛行機から降りたら妻がCAに「旅行ですか?」と話しかけられたと自慢していました。バスに乗って11時オープンのうどん屋に向かいます。ちなみに妻の厳命によって、うどんを迎える準備として朝から一切食べ物を口にしていないのでお腹ペコペコです。

開店5分前に店に着くと一番乗りでした。普段なら20人くらい並んでることもあるという。勝ったな。この旅の勝利を確信した瞬間でした。そしてついに!注文したうどんが来ましたよ。食べログ風に言えば着丼!です。「美味しんぼ」を30年愛読してるにもかかわらずグルメ方面の表現力が圧倒的に欠如してるので、詳細な感想は割愛させていただきますが、私の最大限の語彙力を駆使してみなさんにも理解できる言葉で書くと「超美味い」です。ひとくち食べて、「な?」って顔する妻を見て思わず笑みがこぼれる。そうだ、俺はこのために香川に来たんだった。

それから電車に乗って3時間で3軒のうどん屋をまわりました。ぜんぶ「超美味い」でしたね。それから駅前でレンタサイクルを借りました。今まで「旅先でレンタサイクルを借りる」という発想はまったく持ち合わせていなかったのですが、「こんな便利なものが世の中にあるなんて!」と、「はじめて自転車という乗り物を知った人」くらいの感動がありましたね。XBOXのローンチにデッドオアアライブが加わったときの「XBOXは最強の武器を手に入れた!」というコピーのような気分です。しかも24時間100円。車体が水玉模様でおっさんが乗るにはファニーすぎることを除けば大勝利です。あ、もちろん「レンタサイクルを借りる」というのも妻の計画内です。

チャリに乗って俺たちのホテルドーミーインにチェックイン。ドーミーインといえば、天然温泉の大浴場と夜鳴きそば(サービスの夜食ラーメン)です。そして俺たちの興味は「はたしてうどん県のドーミーインの夜鳴きそばはうどんなのか?」ということだったのですが、結論から言うと通常通りラーメンでした。ただコロナの影響で朝食ビュッフェが中止だったのですが、その代わりに出た朝の軽食がうどんでしたね。味は「超………ふつう」でしたが。時を戻そう。チェックインして大浴場を貸し切り状態で満喫してから、夜の街へ繰り出します。

妻が激プッシュの店「しるの店 おふくろ」へ。店名だけ見るとものすごいマニアックな嗜好の店に見えなくもないですが、ここがマニアックな嗜好どころか雄山も膝を打つ至高の店でしたね。いきなり星みっつです!店名通りメインは10種類近くある「しる」。ふつうにご飯を食べる客も多いみたいで、着席すると「ごはんですか?お酒飲みますか?」と聞かれる大衆食堂システムなので、元気よく「瓶ビールください!」と伝えます。ちなみにごはんを頼むと旅館の朝ごはんみたいに「おひつ」で出てくるのも超頼もしい。ラストに「牡蠣のしる」で〆て、立ち飲み屋を一軒ハシゴして初日は終了。

二日目。あいにく朝から小雨が降る中、レンタサイクルを爆走して今日もうどん屋をハシゴしました。昨日は3時間かけて3軒だったのですが、今日は1時間半で3軒のハイペース。「うどんは別腹」と言い張る妻もさすがに3軒目では「終電乗って起きたら乗り過ごしてるの気づいたけど、どうしようもなく次の駅まで揺られてる」みたいな表情を一瞬してましたね。

「この旅が終わるまで体重計に乗るのはやめておこう…」と決意しつつ、レンタサイクルでフェリー乗り場へ。鬼ヶ島として知られる女木島ではなく、その隣にある「猫ヶ島(勝手に命名)」こと男木島へ。旅行に行くとつい「猫 島」で検索してしまうことあるよねー(旅行あるある)。心配してた雨もこの頃にはすっかり止んでました。さすがバカっ晴れ女(神)さまー!

40分ほどフェリーに乗って降りると、さっそく茶色い小さいのがトコトコ歩いてきましたよ。あーネッコちゃん!自分でも引くくらいキモい声でナデナデすると、この2ヶ月近く圧倒的に足りていなかった猫メーターがみるみる充猫されていくのを感じます。その(キモい)様子を店先で目を細めながら眺めていたおじさんの売店で缶ビールを購入。「あ、ちょっと待っといて」と言って一旦店に引っ込んできてから「これ持ってきな!」とパックに入ったサザエの天ぷらを差し出してくれました。「え、いいんですか!」「いいからいいから(超笑顔)」手に持つとあったかい。出来立てのやつや…ありがとうございます!なんて島だ!

それから帰りのフェリーが出るまでの1時間半ほど島を散策しました。本来はそれだけ時間があれば余裕で歩いて島を一周できるみたいなのですが、ネッコちゃんと遭遇するたび握手会が開催されてしまうのでたぶん半分も回れなかったかな。この日は平日で人も少なく島の店や旅館もほとんど休みだったようなのですが、いつかこの島に一泊してめくるめくネッコちゃん休日を送るのもいいかも、と妄想が捗ります。

なーちゃんがいなくなってから、知らない猫の写真を見るのも辛かったけど、きっともう大丈夫。この冬が明けたらまた猫と暮らすんだ。ちなみにこの島の猫は全員去勢されているので、いつか猫ヶ島が猫ヶ島でなくなる日が来るのだろう。それはそれで寂しいけど、島の人の暮らしだってある。なにが猫にとって本当の幸せかなんてわからないし、人間がわかるものでも決められるものでもないと思う。帰りに売店のおじさんにお礼を言いがてら缶ビールを買おうと思ったらもう閉まってました。

フェリーで戻ってふたたび夜の高松へ。有名店の「一鶴」で名物の骨付鳥をキメたあと、次に入った日本酒立ち飲み屋が大当たりでした。すでに常連のお客さんが5人ほどいたのですが、我々が入って注文した日本酒が来た直後くらいに「どこから来たんですか?」と聞かれて、「東京からうどんを食べに来ました」と答えたところ、まるでライブのコールアンドレスポンスのように「え、どこの店行ったんですか?」「や、クイズにしよ、俺当てる!」と、タナソー似のマスターも含めてその場にいた全員で「私たちが行ったうどん屋どこでしょうクイズ」が始まりまったのですが、うどん通のみなさんによってうどんクイズはあっけなく終了し、「車じゃなくても行ける店」という制限付きでよりディープなうどん屋やこれから行くべきオススメの飲み屋をめちゃくちゃ親切に教えてもらいました。さっきのサザエの天ぷらといい、香川やさしすぎかよ!

「メニューに値段書いてないけど、だいたいお客さん見て決めるから。金持ってそうなおっさんからはキッチリ取るけど、あなたたちなら、わざわざこんな時に観光に来てくれたように見えるし、ふたりで4000円で行けると思うよ」って送り出された次の店で、地魚の刺し盛り(白身ばかりで妻が狂喜)やキスと穴子の天ぷら、焼き牡蠣にビールと熱燗を頼んで会計したらキッチリ4000円だったの笑いを通り越して感動した。いや、さっきのマスターから何か連絡ありました?って一瞬疑ってしまったけど、そんな感じは一切なかったし。ていうか店主がめっちゃ頑固職人みたいな見た目なんですよね。もちろん味も店の雰囲気もふるえるほど最高でした。これは誰にも教えたくない!「ほった」というお店です!最高立ち飲み屋は「芽論」というお店です!行ってお金をジャンジャン使ってください!(あ、一応「お客さんを見て決める〜」とか「4000円で〜」というのは、真偽不明の参考情報ぐらいに考えてください。お店に迷惑かかると申し訳ないので…)

あまりに最高だったのでさっきの立ち飲み屋にお礼がてら戻って、〆のオススメバーを2軒教えてもらう。1軒目に向かった店は看板も何も無い、一見では絶対に店だと分からない外観でめちゃくちゃ気になったのですがあいにく休み。ドアの施錠がヒモなのが最高にパンクでした(何を言ってるか分からないと思いますが一旦受け止めてください)。

次に向かったバーは、外観や店の雰囲気はそこまでディープな感じはしないものの、常連っぽい客がカウンターに座るなり聞いてもないのに「今度結婚するんだよねー向こう外国人だからさーいろいろ大変でさー俺年収○万しかないからやっていけるかわからないんだよねー」と愚痴なのかノロケなのかわからない宣言を延々繰り広げたのがカオスでした。

最終日。朝風呂キメて、うどん軽食キメて、レンタサイクルに乗って琴電の駅へ。妻の計画では最終日はうどんメインではなく、公園などをブラブラして過ごす予定だったのですが、昨日教えてもらったうどん屋に行かないわけにはいかない。駅にレンタサイクルを預けて電車に乗り込みます。車内の広告を見て驚愕。え、自転車を無料で電車に持ち込み!そういうのもあるのか…これは今度来るとき絶対に覚えておこう。

というのも、これから行くうどん屋は「電車でギリ行ける」と教えてもらったものの、駅から徒歩でハシゴすると1時間以上は歩く必要があるんですよね。なのでレンタサイクルがあればめちゃくちゃ便利だったのですが。しかしそんな後悔は微塵も見せずに先頭立って歩く妻の背中はとても頼もしい。普段はほんの少しの坂や階段でもブーブー嫌がるあの妻が、うどんを原動力にすればこんなに歩き回れるということが今回の旅の最大の発見でした。ちなみに妻はこの2軒目に行ったうどん屋が今回の旅のベストオブベストだったらしく、「麺がタピオカみたいで美味い」というおよそうどん通らしからぬ…というより好きすぎて3周まわったくらいのコメントをいただきました。

ちなみに私は初日の最初の店がベストでしたね。妻も2年前行った時は香川で最初に入った店がいちばん感動したとのこと。私が子供の頃はじめてディズニーランド行ったとき、最初に乗ったのが「入口から近い」という理由で「カリブの海賊」だったのですが、言葉にならないくらい感動したあと帰るまでずっと「あれはすごかった…」って興奮して、いまだに特別なアトラクションであることに近いのかもしれない。

この日もうどん屋を3軒ハシゴ。あとは雑貨屋でパチモンくさい任天堂のマグネット買ったり、俺の大好物の「昔ながらの映画館」に付き合ってもらったり、中古レコード屋を覗いたりしました。旅先でレコード屋に入ると「こんなところにいるはずもないのに」って思いながら、「歌謡曲/JPOP し」の棚を探してしまう。CINDYの「これから、錦糸町。」岸野さんのコンビニDJで知った、ご当地ポップスの最高峰。このレコ屋ではもちろん見つかりませんでしたが、サニーチャーのアナログやアヴァランチーズの12インチなどがありました。良いお店。

夕方、帰りの飛行機に乗ってると窓の外がピカッと光って、「雷…?」と妻と顔を見合わせていたら、「ただいま雷が本機に当たりましたが…フライトには影響ありませんのでご安心ください」って機内アナウンスがあって「カミナリガ…アタッタ…?」とカタコトになった。これが映画なら、雷が当たったとき実は俺は死んでいて、このブログを書いてるのもこの世に残った俺の思念体ということがラストに明かされてエンドロールになりますね。3日間でうどん屋9軒。東京に戻ったら無性に「洋食」が食べたくなって、ファミレス版サイゼリヤことガストでワインがぶ飲みキメました。ありがとう香川県!また来るよ!でも例のゲーム条例はやめとけ〜。

# by schooldeathco | 2020-03-20 07:16
なーちゃんのこと


我が家の猫なめろうが天国に旅立ちました。あまりに突然すぎました。猫にも天国ってあるんですかね。ナー!って鳴けばすぐ大好物のちゃおちゅーるが出てくるやわらかい世界にいてほしいです。


なめろうが我が家に来たのは今年の8月。その時点で推定4ヶ月とのことだったのでまだ1歳にもなってないです。4月生まれなので奥さんが勝手にピエール瀧と同じ誕生日にしました。15年とか20年生きる猫もいると聞きます。もしこの悲しみが過ごした年月に比例するとしたら20才で死んだらこの30倍とか悲しいんですか。そんなの嘘です耐えられないです。新年になったばかりなのにこの先10年分の涙を流しました。


なめろうが我が家に来たのはお盆休みの最終日でした。俺も奥さんも昔から猫が大好きだったのですが、実はふたりともたぶん猫アレルギーの気があったので飼うのは半ば諦めてたんです。町で見つけた野良猫を愛でて満足してたんです。でも今ならいけるんじゃないだろうかと、アレルギー対策の薬もあるらしいからそれで抑え込めればいい、もう覚悟の上だ。むしろ今から飼い始めないとどっちが先に死ぬかわからないぞと、意を決して奥さんがネットで探した保護猫センターにふたりで行ってみることにしました。


訪問1回目は空振りでした。空振りというより、こういうとこ来るのはじめてなもんで、一体どういう風に接すれば良いものなのかと。檻の中に入った猫たちを品定めするような自分に、なんならちょっと凹んでましたね。


そして運命の2回目。保護猫がいる部屋に入ってすぐに、こっちに向かって人一倍、というか猫一倍ナーナー!アピールをする猫、それがのちの命名なめろうでした。


その前に奥さんと話してた好みは三毛かハチワレか白猫で、キジトラは全然想定してなかったのですが、もはやそんな見た目とか全然関係なかったですね。向こうから飛び込んでくる感じ。だって他にも里親希望の人たちいるのにこっちに向かって一心不乱にずっとナーナー鳴いてるんですもの。しかもシッポめっちゃ短いし。なんなのユーうち来なよ!


事務手続きを済ませて、いよいよ自宅へ、持ってきたゲージに入れて、電車に乗ります。ワクワクと謎の緊張。さっきまであれほど鳴いてたのにゲージに入れた途端大人しくなって全然鳴かないのと「猫を飼う」という現実感の無さに、「ほんとに中入ってる?」と奥さんと何度も何度もゲージの中を覗き込みました。


家に着いてゲージの扉を開けると、なめろうは恐る恐るゲージの外へ。部屋の端にある我が家秘蔵の酒置き場に3分ほど立て籠ったあと、すぐに私と奥さんが座るソファに飛び乗ってくつろぎはじめました。早いな!その30分後にはそのままウトウト寝てました。大物かよ!


ちなみに「なめろう」という名前ですが、酒飲みの方はご存知の通り、生のアジとかを細かく刻んであーだこーだしたやつです。名前は奥さんが俺の大好物にしたいということで、もうひとつ候補として「レバニラ」という案もありましたが、めでたく「なめろう」に決まりました。上野のたきおかというナイス酒場のなめろうが世界で一番好きなんです。俺の夢は「なめろう」と一緒になめろうを食べることだったのですがそれも叶いませんでした。生の魚、結局食べさせてあげられなかったなあ。マタタビも大人になるまではあげたくなかったから、ごめんね。もっといろんなもの食べさせたり、バカみたいな猫用ケーキで誕生日のお祝いしたり、いろいろ経験させてあげたかったなあ。


こうしてなめろうがいる生活がはじまりました。はっきり言って激変しましたね。猫がこの世界の中心。アンビエントな毎日がハイロウズみたいな生活に。こういうこと書くと「奥さんと二人きりの生活がつまらなかったのか」と誤解されるかもしれませんが、バカ!そういうことじゃないんだよ!って急に焦ると余計怪しいですが、ほんとにそういうことじゃなくてって書けば書くほどアレですが猫のいる生活がこんなにバラエティ豊かで楽しいと思わなかった。だってアイツずっと喋ってるんだよ!何言ってんのかわかんないけど!


まあ奥さんとは結婚してから右肩上がりにラブラブなんで(しつこい)週末はだいたいふたりで近所をほっつき歩いたり飲んだりしてるんですけど、帰ってきたらめっちゃ怒ってるんですよ。人間の耳にはナーナー!としか聞こえないけど、「オレを置いてどこ行ってたんだよ!」って確実に怒ってる。


えー。

猫ってさー、ほら、どっちかというと「おれのことはほっといてくれませんか」ってタイプなんじゃないですか。犬ならわかるけど。ていうか、あなた猫ですよね?「ナー」えっ猫じゃないの?「ナー」ごはん食べる?「ナー!!!!!!!」こんな毎日ですよ。こりゃ一刻も早く家に帰りたくてみるみる残業が減りますよね。国民全員ペット飼うのを義務付ければいいと思う。働き方改革。


そして、なめろうはとにかく元気なので朝5時くらいに起こされる。元気というかむしろジジイかよ。朝5時に寝室のドアやベットの横をカリカリしながらナーナー言う。往年のDJオズマばりにナーナー言う。奥さんは震度4の地震があってもびくともしない熟睡力の持ち主なので、仕方なく俺がのそのそ起きると渾身の「ナーナー!(遊んで遊んで)」が始まるのでヒモのおもちゃを松方弘樹ばりのダイナミックなストロークで放り投げたりして遊んでから、ソファで一緒に二度寝。ゴロンと寝転んでお腹の上になめろうを乗っけるとまるで湯たんぽ超あったかい。暗がりで黒目がちななめろうも俺の油断しきった腹がいい感じのベッドになってる様子。これがまさにWIN-WINというやつですね。どうだこのはじめて彼女と迎える朝が毎日続く多幸感は!


それからなめろう偉いことに芸ができるんですよ。主に奥さんが教えてるんですけど。ひとつはおもちゃを放り投げて「持ってこーい」ってやつで、もうひとつは「お手!」とか「お座り!」をさせるやつ。なんだろう、今冷静に考えると奥さんはなめろうのこと犬だと思ってたのかな?そんな震える事実ってありますか?心なしかやめろうもおもちゃを咥えて持ってくるとき「おれ、猫だよな?」って不思議な顔してた気がする。


あと偉いで言えば決して人間に向かってツメを立てなかったですね。「シャー!」ってなったこともチビッコに追いかけられてたった一度だけ。とにかく攻撃的になることがなくて、ほんとに奥さんに似てやさしい子だったよ。あ、一度だけ奥さんがご機嫌でなめろうを抱っこしてたら、奥さんの腕をカプッと甘噛みしたんですよ。そのときの写真がサイコーすぎて何度見ても爆笑してしまう。たぶんダンサーインザダーク見た直後でもこの写真見れば爆笑できると思う。あまりにこの瞬間が好きすぎて模写してしまった(描いてるときにもなめろうにめっちゃ邪魔されました)。


あと見るタイミングによって顔が全然違うのもおもしろかったな。ある時はゴルゴタッチの劇画調、あるときは少女漫画の憧れの先輩風、あるときは人間のおじさん、むしろ普通の猫だったときの方が少なかった気がする。なめろうが来てから俺のカメラロールが爆発しました。


やばい。思い出がありすぎる。たった半年なのに。されど半年。だって猫の年齢は人間の4倍だって言いますよ。それでも2才か早いよ。早すぎるよ。もっと抱っこしてベランダから外の様子を見せてキョロキョロさせたり、はじめてのマタタビでおかしくなる様子をゲラゲラ笑いたかったよ。家に帰ってドアを開けると「ナー!(遅い)」って怒りながら迎えにきてくれる姿がもう見れないなんてたまらなく寂しいよ。


年末年始まではほんとに変わらず元気だったんだけど、我々の正月休みが終わったあたりからいつもと違うおとなしい感じになって。それももしかしたら大人になった証拠なのかな、なんて呑気に考えてた。でも食欲もないしウンチもあまり出ないからふたりで病院に連れて行ったら、「フードに飽きただけでは?」と言われて、病院で出された高級フードにがっつくなめろうの姿にほっとしたのも束の間。


それから数日してふたたび食欲がなくなり、近所のコジマで色んなフードを買って試すもなかなか口に入れないようになり。相変わらずナーナーうるさいけど何かを切実に訴えてるようでもあり。奥さんが仕事休みの日に一応また病院連れて行ってくれない?とお願いして、「今ごろ病院で頑張ってるはずだから、帰ったらいっぱいナデナデしなきゃな」とか考えながら仕事してたら奥さんから電話。「なーちゃん死んじゃった」


仕事を抜け出し、待ち合わせの交差点で待ってると、向こうから箱を抱えて顔くしゃくしゃに泣きながら歩いてくる奥さんの姿。「ほら、まだあったかいんだよ」。なめろうの入った箱を受け取ると、たしかに温もりが箱を通して伝わってくる。そのままふたり並んで無言で事後説明を受けるために再び動物病院へ。急性腎不全。女医さんが泣きながら死因の説明をしてくれてるけど、全然耳に入ってこない。ていうか、お医者さんまで泣かないでくださいよ。こんなの何百回も、何千回も経験してるでしょ。奥さんがハンカチを、さらに看護師さんがティッシュの箱を自分に向かって差し出してくれて、自分の目からアホみたいに涙が流れてることに気づいた。


それからペットを火葬してくれるお寺さんへ。ここには前に飼ってたモルモット×2も埋葬されている。前にモルモットを埋葬した時は「フレッシュフルーツ」って書かれた段ボールに入れられて「全然フレッシュじゃないのに」って苦笑いした経験から、ちゃんとした箱を家から持参したとのこと。ベットの体重で料金が決まる事務手続きを窓口で済ませる。そういえば最後は抱っこした日も、最初にうちに来た頃みたいに軽かった。笑っちゃうくらいのデブネコにするのが奥さんの夢だったのに。


霊安所で最後のお別れ。こういうときに掛ける言葉は「ありがとう」しか思いつかない。なめろう、いや普段呼んでる通りに言おう、なーちゃんほんとにありがとう。たった半年だけどやっぱり20年連れ添ったみたいだ。結局アレルギーは出なかった。最後病院に連れてくとき俺の布団の上で丸まってたんだって?なんだよそれ泣いちゃうよ。いつもなーちゃんラブな奥さんと俺と代わりばんこでファンサービスしてくれたね。抱っこされるのが大好きで、抱っこされたいときは背中を少し丸めて俺の足元をウロウロしてた。晩酌のときいつもヒザの上に乗ってくれたし、俺のことマッマサージチェアだと思ってたフシもあるけど、ほんとやさしくて甘えんぼの猫だった。というかほんとに猫だったのかしら。天使じゃないのかしら。あー!めちゃくちゃ楽しかったよ。猫と暮らす喜びを知ってしまった。今は悲しくて何も考えられないけど、もしかしてこの先別の猫と暮らすことになったら、なーちゃんやきもち焼くかもしれないけどそのときは許してね。


今ごろ猫世界における天国的な場所でナーナー鳴きながらモル×2と元気に走り回る姿を想像してます。いつかまた俺のヒザの上で一緒にテレビ見ようね。まだ心の整理なんて全然ついてないけど大好きななーちゃんのことみんなに知ってもらえるように、生きた証を忘れられないように、なーちゃんに泡盛献杯してワンワン泣きながらこれ書いてます。体が辛いの隠してたはずなのにきちんと気づいてあげられなくてごめんね。最後看取ってあげられなくてごめんね。最後まで生きようと治療頑張ってたって聞いたよ。猫と暮らすのが夢で母親のようになーちゃんを愛してた奥さんがすっかりまいっちゃってるので夢の中でナーナー鳴いて元気づけてあげてください。今までありがとう。なーちゃん。さよなら。必ずまた会おうね。


# by schooldeathco | 2020-01-24 00:54