歌舞伎町シネシティの現在と記憶
2012年 02月 15日
かれこれ20年以上、少なくても月1回ペースで通っている歌舞伎町の映画館がどんどん潰れていることは以前にも書いた。かつては11館あった映画館も今はかろうじてミラノ系の4館(新宿ミラノ1、2、3、シネマスクエアとうきゅう)を残すのみ。そして3年後、コマ劇の跡地にバルト9、ピカデリーに続く新宿3つめのシネコンがオープンする。間違いなく残った4館への影響は免れないだろう。だからふと歌舞伎町“シネシティ”の現在の風景を写真に撮っておこうと思ったのです。
新宿駅からアルタ前、ドンキの横を抜けて歌舞伎町方面にズンドコ進んでゆくと、かつてコマ劇があった場所がスコーンと抜けて青空が見える。かつてこの地下に新宿コマ東宝があった。なんか音がすごい小さかったんだよな。あと予告編と本編がシームレスでいつもいつの間にか始まってた。『バブルへgo!!』を観に行ったときは場所柄もあって客層がすごく「っぽい」のが面白かったなあ。あと映画版ドラえもんを毎年チビッコに囲まれておっさんひとりでニヤニヤ観たのもいい思い出。よく通報されなかったもんだ。
新宿コマ劇の跡地を曲がると左側に新宿トーアがあった場所。今は屋台村?のような飲食店になっている。ここではホラー映画をよく観た。あと客席に新宿タイガーさんを初めて見かけたときはビックリしたなあ。
そのまま広場を抜けてまっすぐ行くと、ミラノ1と並ぶ大箱だった新宿プラザがあった場所なんだけど、ここもコマ劇と同じエリアでシネコンを建築中なので今はただの白い壁。小学生のときに親父に連れられてここで『E.T.』を観た。すげえ並んだのと鼻血出るほど興奮しながら劇場を後にしたのを覚えてる。それから25年後、閉館に伴うラスト上映で『2001年宇宙の旅』を観た。最後に挨拶できて本当によかった。
ちなみに向かい側のかつてリキッドルームだった場所はイベントスペースに。プロレスとかもやってるみたい。まだ床フカフカしてんのかな。
少し戻って広場から正面にミラノ座を見る。かつては左側にジョイシネマが、右側に東亜興行チェーンの4館があった。
新宿ジョイシネマの跡地はライブハウスになっている。中どうなってんだろう。元・映画館のライブハウスといえば渋谷WWWが思い浮かぶけど、あんな風に客席の傾斜をうまく生かした造りなのだろうか。そういえばジョイシネマは奥さんと付き合ってはじめて映画を観に行った劇場だ。フィンチャーの『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』。実はその前週にも銀座シネパトスに『狂い咲きサンダーロード』のリバイバル上映を誘ったんだけど忙しいとかで断られたんだよな。そのときはデートを断られてショックだったけど、今思えばそれで正解だったと思う。もし『狂い咲き~』が先だったらフラれてたんじゃないだろうか。
広場をはさんで反対側は東亜興行チェーンの内の3つ、新宿オデヲン、新宿グランドオデヲン、新宿アカデミーがあった場所。閉館してから2年半経つのにまだ改装も取り壊されることもなくそのままの状態なのが切ない。これらの劇場は客の入れ替えもなく週末は朝までやってたから、金土になると終電逃した人や家のない人がオールナイト上映に集まってた。そのすこし諦念が入り混じったような週末感はすごく好きだったなあ。『トゥモロー・ワールド』のクライマックスで途中入場してきたおっさんがコンビニ袋からガサゴソ取り出して酒盛りを始めたときは殺意を覚えたけど。あと劇場にアイスクリームの物販があって、上映前に昔の駅弁みたいなスタイルで女の子が客席まで売りに来てたのも独特だった。あれ全然買う人いなくて売り子さんかわいそうだったなあ。
同じ東亜興行チェーンだけど、新宿オスカーはすこし離れたところにあった。そしてこの劇場がまたすごかった。劇場内の造りがなんか体育館みたいなんだよね。客席に傾斜がなくてスクリーンが無駄にしっかりしたステージのすごく奥にあるっていう。だから1番前の席が前の人の頭とかにジャマされないベストポジションだったんだよ。たぶん知らないで劇場入って後悔した人も結構いたんじゃないかな。さすがに旧・新宿ピカデリー4ほどじゃないとは思うけど・・・(雀荘を改装したものすごく狭い映画館でスクリーンの大きさがホームシアター並み。これで通常料金を取るのはさすがにさすがに後ろめたいのか入口に「本当にここで観るんですか?他でもやってますよ?」的な貼り紙があった)。
というわけで、「かつて映画館だった場所」をまわって寂しくなってきたところで、最後のサンクチュアリ、新宿ミラノへ。
ここは思い出を語るにはまだ早すぎるぜ!
さて日も暮れてきたし天一食って帰ろっと。