萌えなさい
2006年 02月 17日
若い女子だけではなく男子までもが、何かの外見を褒めるときにとりあえず馬鹿のひとつ覚えみたいに「可愛い」を使うという昨今の状況は、日本人の語彙の貧困化を端的に表しているようで誠に嘆かわしい限りだが、それ以上に俺が最近危惧しているのが、「萌え」の急速な台頭である。現時点ではまだいわゆる「オタク族」と呼ばれる一部の人々の間で半ばギャグとして使われているに過ぎないが、このままの勢いで拡大を広げると、やがて一般化して老若男女に違和感無く使われるようになり、最終的には「萌えるか/萌えないか」だけが世界の善悪を判断する絶対にして唯一の基準となるだろう。いわゆる「グローバル萌えスタンダード」であり、これが後年「萌えファシズム」へと変化するわけである。その世界では「萌えジャスティス」の名の下に全ての事象が「萌えるか/萌えないか」に判別される。萌えジャスティスの対象に例外は、ない。もちろん人間も、だ。そして「萌えない=悪」と判断された人間は「萌えないゴミ」と呼ばれ、毎週木曜日の朝に近所の所定の場所に集められますのでくれぐれも水曜の夜には出さないでください。そして東京都の場合は指定の半透明袋をお使いいただく必要がありますのでご注意ください。よろしくお願いします。
来週こそ忘れないように。
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Rabbit Fur Coat / Jenny Lewis With The Watson Twins (2006)
去年のコーチェラでのぶさかわいい佇まいとパフォーマンスに俺の目からハートが飛びっぱなしだったRiloKileyのフロントウーマンが、これまた微妙なビジュアルの双子を率いてアルバムをリリース。ちょっとゴスペル風味の曲もあったりと、バンド本体よりも黒っぽいフィーリングを発しながらも全然重くならない風通しの良さはさすが姉さん。そして「Handle With Care」という曲では、なんとデスキャブの2人とブライトアイズことコナー・オバーストと順番にボーカルを取ってハーモニーを奏でるという、US版ohanaとでも言い表したくなる豪華で幸福なトライアングルが形成されていて、聴いてるうちに自然と顔がにやけてきます。