ゆれる
2007年 03月 11日
兄弟を演じたオダギリジョーと香川照之はもちろん素晴らしかったのですが、被告となった兄を法廷でぐいぐい追い込む検事役のキム兄が印象的でよかったです。この映画の中で描かれている兄弟同士の「気恥ずかしさ」にも似た葛藤というのは、どこの兄弟にも少なからずあるもの。そこに女性が絡めばなおさらですよ。南ちゃんがいなければきっとカッちゃんは死ななかったしタッちゃんだって野球を始めようとは思わなかった。同じ女性とセックスしてしまった男同士のことを「兄弟」と呼ぶ風習が日本にはありますが、もし本当の兄弟でそういう三角関係になってしまったらその気まずさは計り知れない。そして、そんなアンタッチャブルな関係に「どや顔」で踏み込むキム兄のえげつなさに何度も吹いた。
子供の頃の仲良し兄弟のまま大人になんてなれるわけがない。そんなのわかってる。わかってるからこそ、ボロボロに傷つきながらもあえてそこから一歩を踏み出そうとした終盤の兄弟の姿に震えた。泣きました。