フロムトーキョートゥシャンハイ
2007年 04月 14日
まずは到着するなり80年代の映画で見た近未来都市のような上海の街並みに笑いがこみ上げる。誰こんなスーファミのシムシティ感覚で街つくった人。中心地はバカみたいな高さのビルや外資系のショップが建ちならんでいるように「見える」のに、一歩路地に入ると物干し竿が窓から突き出た古い民家が密集していて、夜になると道端で何の肉だかわからない肉をジュージュー焼いて売ってる。50m歩くごとに寄ってくる「チンチンマッサージ、キモチイヨ」というものすごい直球の呼び込みや、3歳ぐらいの子供を連れた女性の物乞いを早足で振り払いながら、そのアンバランスさと落差にめまいがした。
交通ルールもあってないようなもので、ちょっと郊外に出れば逆走や信号無視は当たり前。大量の自転車やスクーターが縦横無尽に走る中を、クラクション鳴らしながら爆走する車の助手席に乗ってる間は生きた心地がしなかった。「頭文字D」が中国で実写映画化された理由が分かったような気がする。さらに地下鉄のホームでも降りる人より先にどんどん乗り込もうとするし、タクシー乗り場で待っててもその手前に割り込んできてタクシーを止めようとする。なんだろう、基本的にこの国の人たちには「譲り合う」という気持ちが少ないのかもしれない。中国ではダチョウ倶楽部の「俺がやるよ。どうぞうどうぞ」のギャグは成立しないと思った。でもその「俺が俺が」の精神が現在の中国の高度成長の原動力になってるのは間違いない。きっと俺たちの父親もこういう顔をしていたんだと思う。
そんな風に全体で見るとやたらとファンキーかつアグレッシブな彼らなんだけど、ひとりひとりに会うととっても慎み深いんだよなあ。目も合わせてくれないので最初嫌われてるのかと思ったもの。そんなシャイで言葉も通じない彼らの心を開かせるのは、やっぱりもう酒しかないですよ。いや、本当に酒は万国共通でいちばん手っ取り早く仲良くなれるコミュニケーションだと信じてますからね俺は。ちょっとだけ仕事して飲んでちょっとだけ仕事して飲んで、毎日16時間ぐらい飲んでました。この人たちの飲み方がまた豪快なんですよ。白酒という60度くらいある酒をテキーラショットのように次々と相手を指名しながら乾杯して一気するという、もはやこれは飲みというより集団自殺。その輪がどんどん広がって、空が明るくなってきた頃に「タオパイパイ!オッパイパイ!」と言いながら(俺の考案した爆笑ギャグ)笑顔で抱き合って別れる。こんな日々が続くならここに住んでもいいかもと朦朧とした頭でぼんやり思った。とりあえず次来るときまでに中国語で女の子を口説けるようになりたい。
次は中国の音楽や映画について書きます。(つづく)